相続不動産の価格査定
相続不動産の価格査定
不動産の価格査定とは、簡単に言うと、
「この不動産はいくらくらいで売れそうか」を根拠をもって出す作業です。
不動産業者が行う査定は、基本的に売出価格を決めるための査定です。
不動産鑑定士が行う正式な「不動産鑑定評価」とは違います。
1. 査定価格と売出価格は違う
まず大事なのは、次の違いです。
種類 | 意味
①査定価格 | 不動産会社が「このくらいで売れる可能性が高い」と見る価格
②売出価格 | 実際に広告へ出す価格
③成約価格 | 最終的に買主と契約した価格
例えば、査定価格が1,000万円でも、最初は1,080万円で売り出すことがあります。
逆に早く売りたい場合は、950万円で出すこともあります。
つまり、査定価格は売出価格を決めるための基準です。
2. 不動産価格査定の主な方法
不動産の査定には、主に3つの考え方があります。
① 取引事例比較法
一番よく使う方法です。
近くで実際に売れた物件と比べて価格を出します。
見るポイントは、
場所、土地の広さ、建物の広さ、築年数、道路付け、駐車場、
建物の状態、駅や学校、スーパーまでの距離、周辺の成約事例です。
例えば、近くで似た土地が50坪で1,000万円で売れていた場合、
1坪あたりは、
1,000万円 ÷ 50坪 = 20万円/坪 となります。
査定する土地が60坪なら、
20万円 × 60坪 = 1,200万円 が一つの目安になります。
ただし、実際には道路条件や形、日当たりなどで調整します。
② 原価法
建物付き住宅で使いやすい方法です。
「今この建物を新しく建てたらいくらかかるか」から、築年数分の価値を差し引きます。
簡単に言うと、
建物価格 = 再調達価格 − 経年劣化分 です。
例えば、
新築時の建物価格相当:2,000万円
耐用年数:25年 、築年数:20年
だとすると、建物価値はかなり下がります。
木造住宅の場合、築30年以上になると、実務上は
建物価格をほぼゼロ、または解体費を考慮することも多いです。
③ 収益還元法
アパート、貸家、店舗、駐車場などで使います。
「この不動産が年間いくら稼ぐか」から価格を出します。
例えば、年間家賃収入が120万円で、利回り10%を期待する地域なら、
120万円 ÷ 10% = 1,200万円 となります。
この場合、投資家は1,200万円くらいなら買ってもよいと考えます。
3. 空き家・古家付き土地の査定で見るところ
土地のチェック
所在地、面積、地目、用途地域、建ぺい率・容積率、
接道状況、道路幅員、公道か私道か、再建築できるか、
境界杭の有無、越境の有無、上下水道の有無、
浄化槽か下水か、ハザード区域か、土地の形、
高低差、駐車場が取れるか
特に大事なのは、再建築できるかどうかです。
再建築不可だと、価格は大きく下がります。
建物のチェック
築年数、構造、延床面積、雨漏り、傾き、シロアリ、
基礎のひび、外壁の傷み、屋根の傷み、水回りの状態、
給湯器、電気設備、残置物の有無、
登記されているか、増築部分があるか
古い建物は、単純に「建物に価値がある」と考えず、
使える建物か、解体前提かで分けて見ます。
4. 査定価格の作り方
実務では、だいたい次の流れです。
手順1 物件資料を集める
最初に集める資料は、
①登記事項証明書
②公図
③地積測量図
④建物図面
⑤固定資産税納税通知書
⑥建築確認済証
⑦検査済証
⑧間取り図
⑨過去のリフォーム履歴 です。
全部そろわなくても査定はできますが、資料が多いほど正確になります。
手順2 周辺相場を調べる
見るものは、
レインズの成約事例
アットホームなどの売出事例
公示地価
路線価
固定資産税評価額
近隣の販売中物件
特に重視するのは、実際に売れた成約事例です。
売出価格は、まだ売れていない価格なので、強気の価格も混ざっています。
手順3 現地を確認する
現地では、机上では分からないことを見ます。
例えば、
道が狭い、車が入りにくい、隣家が近い、雑草が多い、擁壁が古い、
高低差がある、境界が不明、雰囲気が暗い、騒音がある
こういう点は、価格に影響します。
手順4 プラス・マイナス補正をする
例えば、同じ60坪でも条件で価格は変わります。
プラス評価
南道路、角地、整形地、駐車場2台以上、
駅・学校・スーパーが近い、下水道あり、
日当たりが良い、建物がまだ使える
マイナス評価
道路が狭い、旗竿地、高低差あり、境界不明、再建築不可、
浄化槽、雨漏り、残置物あり、解体費が高い、ハザードリスクあり
5. 古い空き家の査定例
例えば、次の物件があるとします。
土地:60坪
周辺相場:坪15万円
建物:築45年木造
家財あり
解体見積:180万円
草刈り・残置物処分:50万円
まず土地価格は、
60坪 × 15万円 = 900万円
建物は築45年なので、価値はほぼゼロと考えます。
そして、買主が解体を前提にするなら、
900万円 − 解体費180万円 − 残置物処分50万円 = 670万円
この場合、査定価格はおおよそ
650万円〜750万円
のように幅を持たせて説明します。
6. 査定書に入れる内容
お客様に出す査定書には、最低限これを入れるとよいです。
物件所在地
土地面積
建物面積
築年数
権利関係
都市計画
道路状況
査定価格
査定理由
近隣事例
売出価格の提案
売却方法の提案
注意点
必要費用
7. お客様への説明の仕方
価格だけ言うと、納得されにくいです。
例えば、
悪い説明は、
この物件は700万円くらいです。
良い説明は、
周辺では坪15万円前後で売れています。
土地が60坪なので、土地だけなら900万円前後です。
ただ、建物が古く、解体費と残置物処分費がかかるため、
実際に買主が検討しやすい価格は650万円から750万円くらいです。
早く売るなら650万円前後、少し時間をかけるなら780万円くらいから売り出す方法もあります。
このように、計算の流れを見せることが大切。
8. 売出価格の決め方
査定価格が700万円なら、売出価格は目的で変えます。
売主の希望 売出価格の考え方
早く売りたい 650万円〜700万円
普通に売りたい 730万円〜780万円
高く売りたい 800万円以上で様子を見る
ただし、高すぎると問い合わせが来ません。
特に空き家は、時間が経つほど
雑草が伸びる
建物が傷む
近所から苦情が来る
固定資産税がかかる
解体費が上がる可能性がある
ので、長期間放置はおすすめしにくいです。
9. シブエ不動産としての査定
不動産の価格は、単に土地の広さだけでは決まりません。
周辺で実際に売れた事例、道路の状況、建物の状態、境界、上下水道、残置物、解体費などを確認して査定いたします。
特に空き家の場合は、建物をそのまま使えるのか、解体が必要なのかで価格が大きく変わります。
シブエ不動産では、現地確認と役所・法務局調査を行ったうえで、売却価格だけでなく、
売り出し方や必要な費用も分かりやすくご説明いたします。
10. 最初に確認するべきポイント
不動産査定で一番大事なのは、次の3つです。
近くでいくらで売れたか
その物件にマイナス要素があるか
売主が早く売りたいのか、高く売りたいのか
特に空き家の場合は、
土地価格 − 解体費 − 残置物処分費 − マイナス要素
で考えると分かりやすいです。
最初は、
「土地の相場を調べる → 建物が使えるか見る → 必要費用を引く」